《祭壇》アルター

◆霊の出ずるところ《祭壇》アルター


 日本各地に出現し、大量の霊気を噴出させ、未曾有の霊災をもたらした《祭壇》アルター
 この霊的特異点は今もって霊気を垂れ流し続け、周辺の霊子濃度危険度レベルを引き上げています。
 霊気噴出量は《祭壇》ごとに様々ですが、どの《祭壇》であろうと一般人が近づくのはお勧めできません。噴出した霊気はささいなきっかけですぐ《雑霊》ノーライフと化しますし、《祭壇》付近は環境の変質も著しいためです。
 このようにろくでもない状況の元凶とも言える《祭壇》ですが、《祭主》ロードたちが“この世”に現われたのも、この《祭壇》からでした。《祭壇》がパンドラの箱(あるいはその蓋)だとすれば、《祭主》はさしずめ最後に残された希望と言えるでしょう。

 《祭壇》は“この世”と“あの世”の境目に入った亀裂だと言われていますが、《祭壇》から“あの世”に入ることができた人間はいません。生者の身では、“あの世”へ行くことはできないようです。
 また、どうやら《祭壇》では、霊気は“あの世”から“この世”へと一方的に噴出するばかりであり、“この世”から“あの世”へと逆流することはないらしい、ということも判明しています。これは、霊的な存在である《祭主》も例外ではありません。つまり、《祭主》が《祭壇》を通って“あの世”へ帰るということもできないということになります。
 ちなみに、“あの世”がどんなものだったのかは、今もわかっていません。《祭主》たちに聞いてみても要領を得ないでしょう。人間が生まれる前のことを覚えていないように、《祭主》もまた“この世”に顕現する前のことを覚えていないようです。



《祭壇》アルター《祭主》ロード、そして《祀徒》チェインド


  普通の人間ならば誰もが避けて通りたがる《祭壇》も、《祭主》にとっては、重要な戦略拠点です。
 《祭主》は《祭壇》と霊的に結びつくことにより、《祭壇》から噴出する霊気の供給を受けることができるようになります。多くの《祭壇》を掌握すれば、《祭主》の力はそれだけ増幅するのです。
 そのため《祭主》たちは《祭壇》を巡って、激しい争いを繰り広げています。

 こうした《祭主》たちの争いを、人々はあまり気にしていないようです。
 そもそも、《祭壇》周辺は霊子濃度が高く、とても人の住める環境ではありません。そんな場所を巡って《祭主》同士が争っていたとしても、一般的な日本人にとってはとくに影響はない、というわけです。
 また、《祭主》と《祭壇》が結びつくことは、《祭壇》から噴出する霊気を《祭主》が吸収してくれることを意味します。これによって周辺地域への霊気流出が阻止されるわけですから、人々にとってはむしろ、《祭主》が《祭壇》を掌握してくれる方がありがたいということになります。

 《祀徒》チェインドの中には、この《祭壇》争奪戦に積極的に加わる者もいます。《祭主》に《祭壇》を掌握してもらうことこそが、これ以上の霊災から日本を救うことになるから――というばかりではありません。
 《祭主》は、自分と正式に契約した《祀徒》に、自らの霊力の一部を分け与えます。契約した《祭主》が《祭壇》を掌握することによって霊力が多くなれば、《祀徒》に分け与えられる霊力も多くなります。自分がより多くの霊力を得るために、《祭主》の《祭壇》掌握に力を貸す。そういった《祀徒》は少なくないようです。