トップバー トップページメイルゲームとは?世界観/シナリオルール/システムスケジュール/参加料金スタッフ紹介Q&Aユーザーサポート更新履歴会社情報  
 
初期情報09
 
 
 
蛇の目
【担当マスター】上原聖
 
 
 
 ここは大阪、ディーヴァ本拠地。
 魚沼澄江[うおぬま・すみえ]……通称メデューサ[−]は、呼ぶ声で目を覚ました。
 
 来よ……
 
 頭の中に直接響いてくる声。彼女の絡まりあった黒髪が覚醒とともに目覚め、蛇となってざわざわと蠢く。メデューサの瞳孔が細く縮んだ。
「何者だい……? あたしの頭の中に、直接声を届けるなんてさ」
 
 我はカドゥケウス[−]……そなたらが主劍と呼ぶ一振り……。
 
「主劍!? シヴァ[−]様も持っていらっしゃるそれが、なぜあたしに……」
 
 そなたが一番我に近かった……それゆえ我の声が真っ先に届いたのだ……。だが、他の者にも我が声は届くだろう……。
 
「主劍なら、大劍儀ができるはずだね!? シヴァ様のお役に立てる?」
 
 それがそなたの望みなれば。
 
「そう……そうかい。行くよ、あんたを手に入れに……あんたはどこだい? どこにいるんだい?」
 
 かつて、そなたらが屋久島と呼んだ島……急ぐが良い……我が声は何者かに伝える為に広く届けた……そなたらの敵も、我を手に入れんとして集うであろう……。
 
「いいねえ。敵が多いほどおもしろい」
 
 メデューサは立ち上がった。黒の革を身に纏い、そして、寝室で寝こけている配下を蹴り起こす。
「起きな! 頭を踏み砕かれたいたい!」
 鋭い声に、全員は慌てて目を覚ました。
「シヴァ様の為に、主劍を手に入れに行くよ! 船を用意しな!」
 メデューサの仲間達は慌てて船の用意や飛べる者の用意を始めた。
 カドゥケウスは何が何でもディーヴァの役に立ちたいというわけではないようだ。ならば、早い者勝ち。主劍の目的はよく分からないが、ディーヴァに新しい力を与えられる機会だ。
 未来を夢見、メデューサはうっすらと笑った。
 
◇     ◇     ◇
 
「……聞こえたか?」
「聞こえましたわ、お兄様」
 九州、龍宮本拠地。大塚正義[おおつか・まさよし]は双子の妹……髪の長さ以外は眼鏡までもすべて同じの美貌を持つ、大塚真実[おおつか・まみ]に話しかけた。
「ならば、妹よ。我らが龍宮の目的の為に、主劍を手に入れよ。わたしが行ければ一番いいのだが、何せわたしは戦闘は不得手だ」
「分かってますわ。お兄様に足りない所を補うのがわたくしの役目」
 兄そっくりの顔をかすかにしかめて真実は続ける。
「この“声”は、ディーヴァ、アイオーン、ヴァナへイムにも届いたはず。しかも主劍はディーヴァがお気に召したよう。実際に手に入れられるまでに、わたくしたちが手に入れて、私たちの力としなければ」
「ああ。我らが理想の世界を構築するためには、主劍は必要だ。一振りでも多く。あのような力任せの輩に理想郷は作れまい。屋久島へ行き、カドゥケウスを手に入れよ」
「乙姫様のご許可は?」
「明日にでも頂く。お前は急ぎ準備せよ」
「かしこまりましたわ、お兄様」
 兄妹は優しく薄く笑い、そして妹は部屋を出て行った。
 
◇     ◇     ◇
 
 屋久島。
 ぺリュトーンが蔓延した中でも、生き残った植物達が複雑な生態系を維持していた。
「メデューサ様、まだでしょうか……」
「いちいちゴネんじゃないよ、男のくせにっ!」
 ディアティの少年は怒鳴られて首をすくめた。
「分かるんだよ、あたしには。あのカドゥケウスとやらが呼んでいる場所がね……」
 水音が聞こえてくる。
「あれは……?」
「確か、大川の滝と」
 そして、メデューサは見つけた。
 滝壷でとぐろを巻く巨大な蛇を。
「あんたが分かる……あんたは誰の劍になるんだい? あたしに声をかけてきたんだから、あたしだろう?」
 
 そう言いたいが、そういうわけにもいかんようだな。
 
「主劍は渡しませんよ、ディーヴァの」
 振り向いた先には、真実が軍勢を率い、腕組みをして立っていた。
「わたくしは龍宮の大塚真実。カドゥケウスを頂きに参りました。でも、戦いは我々の望むところではありません。おとなしく劍を渡せば、無事にこの島から出すと約束いたしましょう」
「はん、誰が!」
 メデューサは鞭を構えた。ディアティたちも応戦の構えを見せる。
「龍宮にも渡せんな」
「何者!」
 第三者の声に、真実が鋭く誰何した。その先には剣を握る、興奮に目を輝かせたロードの青年が立っていた。背後には仲間らしきロードの姿。
「アイオーンの佐伯由馬[さえき・ゆうま]だ。主劍を汚らしいディアティや、ディアティを仲間とする薄汚い龍宮などには渡せん」
「それは僕たちも言えますね」
 今度は犬のような姿をしたディアティの青年。ディアティやロードが混成した軍勢を率いている。
「僕はヴァナへイムの東田信弘[ひがしだ・のぶひろ]。カドゥケウスが主を求める声は聞こえました。つまりここにいる全員が、カドゥケウスの主となる資格があるはずだ」
「そうかい」
 メデューサは瞳孔を細めて微笑むと、大蛇に手を伸ばした。
 カドゥケウスは頷き、その手に印を刻む。
 契約の印が結ばれる。
 カドゥケウスはその身体をメデューサに巻きつけた。
 
 利害が一致する間は、そなたとの契約は続けよう。
 
「さあ、主劍は手に入れた。逃げるよ!」
 メデューサはばっと身を翻した。配下が後を追う。
「まずは屋久島から逃げる! 話はそれからだよ!」
「ま……待ってください、メデューサ様!」
 逃げるメデューサたちに、残り三陣営の声が重なる。
『逃がすな……主劍こそが、この国を握る鍵なのだ!』
 
シナリオ傾向など
推奨対応人数 ★★
最大対応人数 ★★★
シナリオ危険度 ★★★
キーワード 『裏表』『蛇』『反発と協力』『主劍の行方』『見た目と中身の違い』『地位争い』

イラスト=桜瑞
 
 
 
ライン
 
← 前のページへ | 次のページへ →
 
 
 
 
ご案内の無料パンフレットをご希望の方・その他お問い合わせは こちら からメールをお送りください。
 
ライン
企画:運営 有限会社エルスウェア 〒166-0015東京都杉並区成田東4-34-14ヤマフジビル3F
ユーザーサポートTEL = 03-3315-5941(平日14時〜19時) / FAX = 03-3315-5961(24時間受信)
郵便振替口座 = 00190-0-85649 加入者名=有限会社エルスウェア
ライン
 
当サイトはフリーリンクです | 個人情報保護のための取り組みについて | copyright © 2008 ELSEWARE, Ltd.