トップバー トップページメイルゲームとは?世界観/シナリオルール/システムスケジュール/参加料金スタッフ紹介Q&Aユーザーサポート更新履歴会社情報  
 
初期情報10
 
 
 
ふじの高嶺に**は降りける
【担当マスター】伊豆平成2号/孝岡春之介
 
 
 
 霊峰とよばれ、古より人々の信仰を集めつづけたその山、富士山は、昨年にペリュトーンを噴出したことで、改めて畏怖と憧憬と憎悪の対象となった。
「まぁ、そんなことはどうでもいいんじゃがな!」
 仕立ての良いスーツ姿の老人が、メガネに白衣の助手の娘が支え持つ、ダンボール箱の中の道具を漁っては後ろに放り投げながら叫ぶ。
 老人の名は、和田博史[わだ・ひろし]。ここ、旧富士山測候所にてペリュトーンの研究を行う、自称唯一無二のペリュトーン博士だ。なお、周囲には“博士”と呼ぶよう強要している。
「ああああ、博士ったら、もうそんなまき散らさないで下さいよぅ。後で片付けるの大変なんですから〜」
 はわわわと慌てふためく大鳥小ぱる[おおとり・こぱる]だが、博士にそう頼んだところで聞いてくれた試しはない。
「そんなものは、助手であるキミの仕事であってワシの知ったこっちゃない。……ううむ、あんまり使えそうなモンはないのぉ」
 ダンボールに半ば頭を突っ込み、がちゃがちゃと一通りひっかき回した博士だが、目当てのモノは見つからなかったようだ。
「橘ももちっと使えるものを寄越せと言うに……」
「仕方ないですよー。博士の超考えについて来れる人なんてそうそう居ませんからー」
 小ぱるは博士のご機嫌をとりつつ、投げ捨てられた小道具を拾ってダンボール箱に戻す。
 博士はうーむと唸り、窓越しに火口へと目を向ける。そこには宙に浮いた赤と青の少女が、火口から立ち上る蒸気相手に無邪気に戯れあっていた。
 腕を組みした博士は、片付けを続ける助手へと視線を戻し、立て続けに尋ねる。
「で、献体の方の目処は立ったのかね?」
「届いてませんねー」
「研究用の劍は?」
「届いてませんねー」
「協力者を寄越すとも言ってなかったか?」
「届いてませんねー」
 小ぱるが1つ答えるたび、博士の顔色が赤方偏移を繰り返す。
「……アイオーンの誠意は?」
「届いてませんねー」
 そして臨界突破。
「ふざけるな! ワシを誰だとおもっておるのじゃ!! ペリュトーンの存在を歴史の闇から引っ張り出した功労者にして、ペリュトーン研究の第一人者なのじゃぞ!?」
 はげあがった頭から熱せられた蒸気が立ち上り、まるでちょっとした噴火のようだ……と小ぱるは思う。
 が、茶化すと後々面倒なので口にはしない。
「ですよねー」
「これでは主劍の研究も進まんではないか! ワシの野望の行く先はどうなる!?」
 博士の個人的な野望なんて、アイオーン的にはたぶんどうでもいいと思いますよーなどとも思うが、それも口にせず思うだけにしておく。
「えーと、じゃあとりあえずはあの子たちの調査だけでも進めときます?」
 ちらりと示す目線で、蒸気にのって舞い上がる少女達を指し示す。
 しかし、助手の提案に、博士は思いっきり眉をひそめた。
「いや、それだけはパスじゃ。勘弁してくれ。あんなのと付き合っとったら命がいくらあっても足らん。つーか、あいつらの相手をまともにできるようになるためにも主劍の研究先じゃろ?」
「でも、今の状況じゃそっちを進めるのも無理なんですよねー」
 言われるまでもなく助手の言葉通りなのはわかっているが、それを認めるのも腹立たしい。
「あきらめたらそこで試合終了じゃ。なんとか打開策をだな……」
 歯軋りしつつ、博士は頭の回転を早めるためにつばを指にとり、禿げた頭にぬりつけた。
「はっちゃけ〜、はっちゃけ〜……」
「博士博士、色々混ざっちゃってますよ!」
「……む、閃いた!」
 助手の突っ込みには聞く耳もたず、博士は喜びに拳を振り上げ高々とジャンプする。そして年を考えない行為の結果に、博士は着地に失敗して転倒した。
「……見たな?」
 腰をさすり立ち上がりながら、博士はわざとらしく横を向いた助手に尋ねる。
「え? なにをでしょう? 博士の華麗なジャンプシーンに感動して一瞬気を失ってましたので!」
「うむ、それでいい。キミは相変わらず有能じゃな」
「ありがとうございます。……あの、それでなにを閃いたんですか?」
 することは無いとはいえ、小ぱるとしてもいつまでも遊び続けていたくはない。アイオーンの支援のおかげで食事には困っていないが、楽して遊び呆けるためにここに居るわけではないのだ。
「おお、そうそう、忘れるとこじゃったわい。この際じゃな、橘どもに任せっきりにぼんやり待ってるのはヤメにして、直接協力者を集めた方が早かろう……と思ってじゃな」
「博士にしちゃ普通の考えですね」
「うむ。ワシも正直面白味は足らんとは思う。が、面白さだけを追及するならあの二人にちょっかいを出すという道しかないのじゃが……」
「協力者を集めましょう」
 今度は小ぱるがきっぱり断る。要するに2人とも、あの少女たちには酷い目に遭わされているのだ。
「で、やっぱりアイオーンから募集ってことになるんですか?」
「いや、この際だ、陣営は問わん。……なぁに、ここに辿り着いてさえくれりゃ、橘にも止めさせやせんわい」
「えーと、大丈夫ですか? ぶっちゃけ博士って研究以外になんにもできませんよねー」
 そして私も荒事は無理、と胸を張る助手に、博士はニヤリとあごを撫でる。
「橘やらが兵隊を送ってくるなら、ワシはあの2人に遊び相手が来たと伝えてやろう」
「勝ちましたね」
 くっくっくと、博士と助手は邪悪そうに笑いあった。
「――とすると、来て欲しいのは、強めの献体と強めの劍と、後は適当に人手ってとこですかー?」
「まぁそうじゃな。人手は力次第で必要そうならまんま人身御供にもできるし、2人の興味がワシらに向いた時のスケープゴートにも出来るし、一石三鳥じゃ!」
 あまりの名案っぷりに、かーっかっかっかっと博士が高笑いを上げた。
 途端に、ぽんっ★と部屋の空気が弾け、赤と青の2人の少女が姿を見せる。
「楽しそう!」
「楽しそう!」
 無邪気な目がキラキラと輝くと、博士の体がふわりと宙に浮く。
 こっそりと部屋から逃げようとした助手の体も、ふわりと浮いた。
 博士と助手は、泣き笑いの表情を浮かべる。今日の遊びはなんだろうか。体に自信の無い2人としては、生身で音速の壁を破らされるとか正直勘弁して欲しいのだが。
 
 こうして富士山頂に、この日も2人の絶叫が木霊した。
 しかし、2人がこの山を降りることは無い。そうすることでこの少女たちから逃れられるとしても、それを選んでしまった時点で、研究者としては失格なのだ。
 それに、今の研究が完了した暁には――
 
シナリオ傾向など
推奨対応人数 ★★
最大対応人数 ★★★
シナリオ危険度 ★★★★
キーワード 『狂的科学者』『メガネっこ』『ようじょ』『劍●ってなぁに?』『この世界はワシが育てた』『自重しない人たち』『ペリュトーンまっしぐら』『遊ぼう遊ぼう私は元気』『油断大敵』

イラスト=桜瑞
 
 
 
ライン
 
← 前のページへ | 次のページへ →
 
 
 
 
ご案内の無料パンフレットをご希望の方・その他お問い合わせは こちら からメールをお送りください。
 
ライン
企画:運営 有限会社エルスウェア 〒166-0015東京都杉並区成田東4-34-14ヤマフジビル3F
ユーザーサポートTEL = 03-3315-5941(平日14時〜19時) / FAX = 03-3315-5961(24時間受信)
郵便振替口座 = 00190-0-85649 加入者名=有限会社エルスウェア
ライン
 
当サイトはフリーリンクです | 個人情報保護のための取り組みについて | copyright © 2008 ELSEWARE, Ltd.