運命準備委員会 Sommerbrautは寂かに告げる
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ルール解説
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『宵闇館』
上原聖 Kamihara, Sei
目崎裕子[めざき・ゆうこ]は、小高い丘の上から、赤外線つき双眼鏡と、スケッチブックと濃い鉛筆を持って、時が経つのを待っていた。
眼下には、夕焼けを映して黄金に輝く特設校、「宵闇館」が見える。特設高校で、現在の顧問は三代目。結構歴史がありながら、その実態は誰も知らない。 古い造りの特設校は、夕焼けの度に赤々と世を照らす。 裕子は、新聞部から派遣されていた。 男子限定、夕方から始まる授業。その内容は一切分からない。で、一斉に授業が始まるというのは分かる。なのに深夜に訪れる教師や生徒、学校関係者も居る。その人を翌朝インタビューしてみても、「いやいや、はやはや」とそそくさと去っていくのだ。 最初は新聞部は男子限定だからと男子生徒を送ったが、彼らは翌日には退部届けを出した。そして宵闇館に通っていると言う。 何か秘密があるのは間違いない。それを調べるのが、新聞部のやるべきことだ。 また一人、特設校に入った。 裕子は必死でその顔を覚え、絵にする。 「やあ」 声をかけられ、裕子は跳ね上がった。慌てて後ろを振り向く。 そこには。二人の男子生徒がいた。小津順司[おず・じゅんじ]と夢崎邦夫[ゆめざき・くにお]。邦夫は華奢で儚く見えて、順司はもう少し肉体派である。 邦夫の方が薄く笑みを浮かべながら言う。 「あのですね、ここは女子禁制なんです。男にしか分からない悩みを潰すところですから。男だったら学校関係者であれば構わないけど、ここはあくまで男子専用。女子用を作りたいのであれば、ご自分でおつくりになっては?」 「あたしは特設校の作り方を聞いてるんじゃない。中で何をやっているかが気になるんだ!」 「それは、男同士の秘密だな」 順司がのんびりと言う。 「ちょっと待て、あたし一人で置いていくなーっ!」 「そうですね」 邦夫はくるりと振り向くと、にっこり微笑んで、裕子の唇にキスをした。その背後に、美しくも麗しい愛人の姿。 (朝焼け館の……エメレンツィア……) 裕子は力を失って倒れた。 「どうすんだよ、こいつ。宵闇館の秘密、喋り捲るぜ」 「彼女が知ったのは、僕がエメレンツィアの末ということだけです。あとは適当に看護特設校に運びましょう」 「開店だな。お前らー。この女を看護棟に運べー」 宵闇館から様子をうかがっていた美形の男子生徒たちが協力して、保健医の下に運ばれた。 「ま、時間が経てば回復するよ」 気絶した裕子を残して、美少年たちは去っていく。 「で? ナンバー1とナンバー2が二人揃って遅刻とは?」 保健教師、雨宮譲[あまみや・ゆずる]が不機嫌そうに邦夫と順司を見る。 「新聞部が手ぇ変えてきたんだ。女が来た」 「女? しかし、この特設校には、女性は一歩たりとも入った事はない」 「神の眼ヨハンのアーキタイプだったらしい。一応スケッチブックは全部破いたけど、あれは覚えてさえいれば完璧に出来るからな……。デジカメやパソコンなんて眼じゃないぜ」 「小津、夢崎。もうすぐ新人が入る可能性がある。教育は任せても?」 「まあ、この学校の代表としては、俺とナンバーワンの邦夫が教えるのが妥当かな」 「まあ、揃ったところではじめよう」 宵闇館の中、声が響き渡った。 「どんなに金を積んでも、愛せない者を愛してはいけない」 「どんなに貧しくても、金目当てに売ることはない」 「禁断の、それ故に純粋嗜好たる我々は、決して愛以外を求めてはならない!」 「愛こそすべて、分かち合う快楽こそすべて!」 様々なタイプの美形が、譲の言葉の後を続けて言う。 「01、邦夫。お前の気に入りの三人の予約が入っている」 「分かりました」 「02、順司。予約は一人だが、激しいものをお好みだ」 「任せとけ」 「03、私は今日は予約客はない。仕事をする。オーダーが入ったらすぐ私に連絡するように」 「はい!」 「それでは、全ての男子の愛のために」 「愛のために!」 それぞれの部屋に入っていく。 邦夫は順司の背にすがり、キスをした。エメレンツィアのキスではない、普通の。 舌が入り込む。 「はいここまでな。お前、今日は三人も相手しなけりゃいけないんだろ? 余計な体力使うなよ」 「ん……こうしていれば、いつか必ずあの方は復活するよね」 「そうさ。その為に俺たちはこうして男を愛しているんだから」 「僕のこと、愛してる?」 「ったりめーだ。エメレンツィアのアーキタイプ、愛してもいないやつを抱けるか。お前みたいにな……」 二人はお互いの部屋に入る。 「邦夫くんはいるかな……?」 入ってきた男性教師に、邦夫は飛びついてキスをした。 「待ってたよ……」 【シナリオ傾向など】 対応人数 〜30名 キーワード 『BL』『18禁』『不採用(強)』『絆』『女子厳禁』『男のみOK』『中で何をしているの?』 推奨『属性』 【魅力】 【選択肢】 A013700【賢明】「宵闇館を調査する」(女子のみ) A013701【魅力】「宵闇館に新入生徒として入る」(男子のみ) A013702【魅力】「宵闇館に客として入る」(男子のみ) |
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Play By Mail Role Playing Game, From July 2006 To July 2007, Produced by ELSEWARE, Ltd.
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