GDDD外伝 No.G992300      担当:はなみずき頼 「平凡な1日」 ―――――――――――――――――――――――――  それは千葉県某所。車やバイクでも多少不便だが、徒歩だとかなり不便な山の中にある。  「猟幽会 関東・千葉支部」  多少の広さはあるが、古い平屋建ての公民館にも見えなくはない外観は、下手をするとお化け屋敷にも見えなくもない。  フリーの《祀徒》を受け入れるには多少不便な立地条件ではあったが、猟幽会と言う組織の立場や、「大“霊”災」後の《祀徒》と言う存在が確立してから、そう遅くない時期に公然と、かつヒッソリと活動をしてきた場所でもある。  そんな支部を預かるのは、支部長の肩書きを持つ鳥谷進次郎[とりたに・しんじろう]と名乗る、年齢不詳の男。  童顔で、青白い1度も日に焼けた事がなさそうな肌を持ち、いささか白髪の混じった肩まである髪がいっそう年齢を分かりにくくしている、ヒョロヒョロした風体のオカルト愛好家の昼行灯である。  ここに身を寄せる、セーラー服《祭主》水戸光圀[みと・みつくに]に言わせれば 「病院の廃墟前にいたら、確実に《雑霊》と間違われて、退治されちまうよ!」  との事である。  どのような経緯があったかは明かされていないが、鳥谷がボヤく時の口癖は 「オカルト的資料の調査と管理をする司書みたいな仕事で、書庫でパソコンに向かってればいいからって言われたから引き受けたのに!!」  である。  光圀よりいくらか先に、身を寄せている《祭主》正宗[まさむね]によれば 「あの子のパソコンったら、ほんとにオカルトのブックマークしかないのよ!!  たまにある、それっぽくないタイトルのはツブヤイッターとかGogoes+とかウィキメディアズとネット通販くらい。  通販の購入履歴もオカルト関係の書籍と、食料品くらいでさぁ……。  えっちぃサイトなんて、これっぽっちもありゃしないし、画像フォルダも心霊写真とか、オーパーツの写真とかばっかなのよ!  健全な男子としてどうかと思うわ!!」  ――そんな心配してないで、鳥谷のプライバシーを尊重してください正宗さん。  そんな昼行灯を支えるのが、猟幽会千葉支部事務員の榎田忍[えのきだ・しのぶ]女史。  口元のホクロが色っぽい、むちむちボインボインのセクシーダイナマイトだが、クールに眼鏡をかけ、事務作業や建物の清掃や鳥谷への荷物の受取、《祭主》のお守りなどなど、全てをこなすオールラウンダーとして猟幽会でも名高い存在である。 「ブラジャーをかぶったら、片方のカップにすっぽり頭が入っちまったんだよ!  ありゃー驚いたね!!」  光圀……何故かぶる!? 「地味でダッサイ事務服に、網タイツと黒のハイヒールを合わせてる辺りに、すンごいフェティシズムを感じるわ!!  あの子、絶対にHENTAI(良い意味で)よ!」  正宗……あなたには言われたくない。  人員はこの2人しかいない。  この施設の近所には、昔々に作られたダムの作業員向けに開店したものすごく古い定食屋があるだけだ。  その定食屋は今では店先で大判焼きやたこ焼きを売って、山の中にある全寮制の学校の生徒と、甘党光圀の安らぎの場として地味に栄えている。  最寄りのバス停まで徒歩40分、バスの最終は19時。1番近いコンビニまで車で10分、徒歩なら1時間かかる。  そんな陸の孤島……。  榎田は朝の7時30分には車で出勤してきて、正面玄関の鍵を開けて中に入る。  書庫と言う名の住処で眠る鳥谷の姿を確認してから、ゴミをまとめ、屋内にモップをかけて、窓を拭く。  9時になると玄関の看板を「本日閉館」から「受付はこちら」に変更して、事務作業にかかる。  本部や各地の支部から送られてきたメールをチェックして、必要な物はプリントアウトしておく。  そうこうしていると、新たに登録をしに来た《祀徒》がやってくるので、申請用紙を手渡す。  申請用紙はそうややこしくはない。  登録者の住所・氏名・生年月日・血液型・連絡先電話番号・契約《祭主》名・《霊器》・《霊験》など……そう、見た事あるでしょ? キャラクター登録用紙、あんな感じ。  登録者はその控えを貰う。お疲れ様。  登録証明書は後日郵送。――らしいですよ?  榎田はその後、データを入力し本部へ送信。本書は専用バインダーに綴じて個人情報として鍵のかかるロッカーにしまう。  たまに支部へ直接アシストを借りに来る《祀徒》もいるので、ちゃんとした金庫に用意されてたりもする。その在庫の管理も榎田の仕事。  お昼になったら鳥谷が起きてくるので、新聞を渡してカップ麺にお湯を注いでやったり、たまには榎田がお弁当を差し入れてくれたり。  午後は資料の読み込みなどにもっぱら費やされたり、手間のかかる《祭主》のおやつの用意をするために使われる。  夜は18時になったら閉館。普通のお役所よりは長く開いている。基本、年中無休(ただし臨時休館する場合もあります)  その頃にはフラフラ出歩いていた《祭主》どもも帰ってくるので、たいてい賑やかになる。  20時くらいに榎田は帰宅し、鳥谷はそのくらいから書類に判子を押したり、メールに返事をしたりする。  たまに深夜1時を過ぎたくらいから、ダムへ心霊写真を撮りに出かけたりもするが、彼が写した心霊写真は1枚もない。  夜明け近くになり、雀の鳴き声が始まるくらいに鳥谷は書庫の一角に敷いた布団に潜り込む。  《祭主》は宿直室のような畳敷きの部屋に布団を敷いて眠る。最初の頃は、鳥谷もそこで寝起きしていたのだが…………。  これが平凡な猟幽会 関東・千葉支部の1日。  ――なお、他支部は同じような形式ではありませんので、ご了承ください。 ――――――――――――――――――――――――― ■マスターより ・この公式プラリアは猟幽会 関東・千葉支部にだけスポットを当てられたもので、他の支部がどうなっているかは不明です。 ・鳥谷と榎田には、もっと本リアクションで見せ場を作りたいところですが……どうなりますやら? ―――――――――――――――――――――――――  ここに書かれている内容・情報は、「GDDD外伝」内限定のものであり、公式設定と食い違う場合があります。 ここに書かれた内容を元にしたアクションは、原則採用されません。  このリアクションの複製および、個人サイトやブログ等での無断転載・転用、無断配布等は固く禁止しております。 ※個人としてゲームを楽しむための交流ためであっても例外ではありません。 ―――――――――――――――――――――――――